2025-01-01から1ヶ月間の記事一覧
今回は、下の図のように、観測された時系列データに自己回帰モデル(Autoregressive (AR) model)を当てはめ(左)、そのパワースペクトルを基本要素(右)に分解する方法について説明します。 心拍変動のARパワースペクトル (左)とそれを分解した結果 (右、…
私が作ったコンテンツの中でダントツで一番人気なものが、Savitzky-Golayフィルタの記事です (検索でのアクセスの20%近く)。しかも、それはこのブログだけじゃなくて、私のYouTubeチャンネル (@kiyonolab) でも、世界的に同じ現象が見られます。 正直、「え…
パワースペクトルがあれば、線形確率過程や弱定常過程の動的特性をバッチリ (完全に)特徴づけることができます。つまり、線形確率過程では、 パワースペクトルは、時系列データの「DNA」 みたいなもので、パワースペクトルは時系列を生成するルールのすべて…
今回は,以下の表に示した,定数"1"と三角関数のcosのフーリエ変換について考えてみたいと思います. もとの関数 フーリエ変換するとこれになる 左側に描いた1 (上)とcos (下)をフーリエ変換すると右側のようにデルタ関数 (右図の赤矢印)が登場. この問題を…
時系列のパワースペクトルを理解したり,フィルタの特性を理解したり,デルタ関数の性質を理解したりする基礎知識として,矩形関数とsinc関数の関係を理解しておく必要があります.ということで,今回は,矩形関数とsinc関数についてのお話です. 下の絵のよ…
私が,Savitzky-Golayフィルタと出会ってから,もうすぐ10年になります.私は,Savitzky-Golayフィルタをとても気に入っていましたが,残念ながら,さよならするときが来ました. 最近,Savitzky-Golayフィルタは理想のフィルタではないことを認識しました…
下の図のように,時系列解析では,パワースペクトルとか,コヒーレンスとか,DFAなどのスケーリング解析とかで,いくつかの結果のグラフをまとめて,平均的なグラフを求めたいことがあります.今回は,この処理をするRスクリプトを紹介します. x軸の各点で…
心拍変動のポアンカレプロット解析についてのお話です.私は,大学で非線形力学系やカオスの研究をして博士号をとりましたので,非線形力学とか,ポアンカレプロットについてある程度知っているつもりですが,心拍変動のポアンカレプロット解析については,…
今回は,Detrended Fluctuation Analysis (DFA)とDetrended Moving Average Algorithm (DMA) (あるいは,Detrended Moving Average Analysis) の欠点についての話です.DFAにはひどい欠点がありますが,DMAにも欠点があることを指摘したいと思います.これら…
Savitzky-Golayフィルタは,平滑化フィルタ (ローパスフィルタ)として活用することができます.通過域の周波数で位相のずれがないという特徴がありますが,阻止域では位相反転することがありますので注意してください. 私が考えるSavitzky-Golayフィルタの…
Savitzky-Golayフィルタの使い方でほとんど語られない(説明を見つけるのが難しい)話題に,時系列の端の処理があります.私たちが分析したい時系列は,必ず,最初と最後がぷつんと切れて終わっています.そのような切れ端の部分に対して,Savitzky-Golayフ…
Savitzky-Golayフィルタのカットオフ周波数の情報をまとめておきます.すべて,私自身が考えて計算したものですので,間違いがあるかもしれません (本やインターネットに情報を見つけられませんでした). カットオフ周波数の近似式 Savitzky-Golayフィルタは…
今回は,Savitzky-Golayフィルタのカットオフ周波数を計算してみます.Savitzky-Golayフィルタのカットオフ周波数について,インターネットで検索してみましたが,詳しい説明は見つかりませんでした.ChatGPTにも質問してみましたが,一般的な答えは教えてく…
最近は、高校で行列について勉強しないそうです。ですので、大学生でも行列や行列式の知識が不十分なことがあります。そんな大学生が行列式の計算ができるように、今回は、行列式の計算方法について説明します。 2次の行列式 3次の行列式(サラスの公式) …
今回は、離散時系列の解析に使うパワースペクトル推定 (スペクトル解析)についての解説します。Rスクリプトの例も示してありますので、数値実験をして理解を深めてください。 連続時系列 (上)と離散時系列 (下) 時系列データは,連続でも,無限長でもない 【…
最近,高校の数学で出てくる漸化式 や, の解き方を教える機会がありました.私にとってはかなり昔の記憶ですが,高校の数学では,公式的なパターンに変形したり,行列の形にして対角化するとかありました.ラグオペレータでも解けるので,今回はラグオペレ…
マクローリン展開について簡単に説明します. マクローリン展開以前の超基礎:方程式と恒等式 見た目が違うけど,多項式と恒等式の関係になる マクローリン展開 マクローリン展開の例 収束半径 大学の試験で見かける自明なマクローリン展開の問題 マクローリ…
今回は留数定理です.留数定理を知っておいてほしい理由は,自己回帰過程の分解の計算に使うからです.留数定理では,下図のように周回積分する単一閉曲線の内側に,特異点と呼ばれるトゲや穴,,が複数ある場合を扱えます. 複素平面にある特異点のイメージ…
複素積分について勉強したでしょうか.私は数学者ではありませんが,昔,ある私立大学で数学教室の教員として,線形代数とか,複素関数論とか,数学の基礎科目の講義を一通り担当していました.私が,私立大学で働いていたときは,毎週6~7コマ担当していた…
数学的な背景の解説はWikipedia Quantile regression - Wikipedia に任せておき,Rで実際にQuantile regression (分位点回帰)を実行するスクリプトを載せておきます. 以下のスクリプトでは,相関係数 r の2変数が2次元正規分布に従うことを仮定し,標本を…
最近,レーダーチャートを描画する必要が生じたので,Rでレーダーチャートを描く方法を調べてみました.今回は,fmsbパッケージを使ってレーダーチャートを描くためのメモです. これまで,fmsbパッケージを使ったことがない場合は,まず,このパッケージを…
Rのコマンドhistを使ってヒストグラムや確率密度を推定してグラフを描くことができます.ただ一つ困ったことに,グラフの線を太くしようとして,lwdを指定して, x <- rnorm(1000) hist(x, lwd=10) としても,横軸と縦軸の線がぶっとくなるだけで,ヒストグ…
Rで文字列を時刻データに変換コマンドに,as.POSIXctがあります.この変換処理に時間がかかりすぎるので, 私はas.POSIXctを2度と使いません. as.POSIXctを使ってる人,人生を無駄にしています. では,代わりに何を使うか.それが,fasttimeパッケージのf…
Rで生体信号時系列を扱うとき,時刻はミリ秒まで扱いたい場合があります.デフォルトでは,Rは秒の小数以下を表示しません.元のデータにはミリ秒まで記録してあるのに,「なんで表示してくれないの?」,「ミリ秒の値を捨てちゃったの?」という疑問がわき…
今回は,1階線形微分方程式 を積分因子を使った方法で解きます. 印象に残すポイントは,以下の2点です: 1. を積分して, の肩にのせたものを両辺にかける.【補足】大学生になったら,高校のときのように不定積分に定数項を書きません.そんなの省略で…
微分方程式を解くとき,その形の特徴を見極めることが最初の一歩です.今回は,1階線形同次微分方程式の解き方を説明しますが,この呪文「1階線形同次微分方程式」に含まれる「1階」,「線形」,「同次」の意味が分からない人や微分方程式について何も知…
今回は,最も基本的な次の微分方程式 (1階微分方程式)を解いてみます. この式は,の導関数がであることを意味しています.ですので,不定積分の定義 (微分して になるものを, の不定積分と呼ぶ)により, この微分方程式の一般解は, となります.の値は,…
定数係数の線形非同次微分方程式を解くために必要なラプラス変換の知識を整理します. 定数係数の微分方程式は,ラプラス変換で解かなくても,他に解き方はいくつかあります. ここで強調したいことは,定数係数の微分方程式は必ず解に辿りつけるレシピがあ…
この記事は「ケィオスの時系列解析メモランダム」サイトにおける個人情報や取り扱いや免責事項などをまとめたものです。 個人情報の利用目的 当サイトでは、メールでのお問い合わせやコメントの際に、お名前(ハンドルネーム)・メールアドレス等の個人情報…
ある確率過程の自己相関関数 の和 が発散する確率過程を,長期記憶過程と呼びます.この和が発散することは,何で「長期記憶」と呼ばれるのでしょうか? 上の長期記憶過程の条件を満たす自己相関関数の代表例として,べき関数的減衰 を示すものがあります. …