以下のオイラーの公式
は、複素指数関数と三角関数を結びつける重要な関係式です。
ここで、 は虚数単位(
)です。この式は、指数関数と三角関数の間に深い関係があることを示しています。
下の図のように、オイラーの公式は、 が複素平面上の単位円上の点を表していることを意味しています。
は複素平面上の単位円上の点を表す。
は実軸から左回りに進んだ角度。
オイラーの公式を使うと、さまざまな三角関数の公式を簡単に証明できます。
複素数の基礎
今回の計算では、以下の性質を頻繁に使いますので、念のため説明しておきます。
,
,
,
が実数のとき、
であれば、
です。
複素数は、実部と虚部の組み合わせで数を表していますが、2つの値が等しいということは、実部と実部、虚部と虚部が一致するという意味です。
三角関数の指数関数表示
オイラーの公式の両辺に を代入すると:
三角関数では、、
なので:
この式とオイラーの公式
を足し合わせると:
また、引き算すると:
三角関数は、指数関数で表せることが分かります。この関係は、下の図がイメージできれば、当然のことです。
加法定理の証明
オイラーの公式を使って、加法定理を証明します。
まず、 に対してオイラーの公式を適用すると:
ここでは、指数関数の性質を利用しました。
下の図のように、 をかけることは、点を原点周りに角度
だけ回転させることを意味しています。
に
をかけると、角度
だけ回転した位置に点が移動。
次に、
を代入して展開すると:
ここで、 なので:
オイラーの公式を使った結果
と比較すると、実部と虚部が一致するため、加法定理の式が導かれます。
ドモアブルの公式(de Moivre's formula)
ドモアブルの公式は、 を整数 (負の整数でもかまわない)として、次の形の式です。
この公式は、オイラーの公式を知っていれば、当たり前と感じられるものです。
ドモアブルの公式の左辺をオイラーの公式を使って指数関数に書き換えれば、
となります。この右辺を変形すると、
となりますので、ドモアブルの公式が成り立つことがわかります。
マクローリン展開
指数関数のマクローリン展開
の両辺の の部分に、
を代入して,計算すれば、
この結果とオイラーの公式
の右辺の実部と虚部を比較すると、以下の関係が成り立ちます。