心拍変動の研究に携わって、すでに20年以上が経ちました。そこで、私が個人的な視点と意見で書いた心拍変動に関する記事をまとめました。
私が心拍変動解析で特に意識しているのは、時系列の構造を読み取ることです。心拍変動の指標はあくまで参考であり、その値の大小が示す意味は、実験条件、個人の特性、疾患の特性によって異なります。特定の指標の解釈が、常に絶対的な意味を持つわけではありません。
NNって何?
一般的な心拍変動解析ではNN間隔時系列を分析します。この「NN」は「normal-to-normal」の略で、normalはnormal sinus rhythm(正常洞調律)を意味します。正常な心臓の電気的活動による心拍リズムが正常洞調律です。
一方、期外収縮や心房細動などの不整脈は正常洞調律ではありません。そのため、期外収縮が頻発する場合や心房細動の場合には、一般的な心拍変動解析の方法は適用できません。ほとんどが正常洞調律で、一部に期外収縮が見られる場合は、期外収縮の部分を正常に近い拍動間隔で補正してから、心拍変動指標を計算します。
心拍間隔の時系列データではRR間隔という表現もあり、「NNとどう違うのか?」と疑問に思う人も多いでしょう。結論として、不整脈がなければ、NNを想定した指標はRR間隔を使って計算して問題ありません。
RR間隔の前処理
心拍変動解析の前処理として、不整脈やノイズによるR波位置の誤検出は、洞調律に近い形で補正する必要があります。
周波数領域指標を計算する前処理として、等間隔サンプリングへの再サンプリングを行うのが一般的です。
心拍変動指標
心拍変動指標についてあまり説明していなかったな、と反省しています。少しですが、以下の記事が参考になりますでしょうか。
心拍変動の解説動画
Youtube動画も作っていますので参考にしてください。