Detrended Fluctuation Analysis(DFA)や Detrending Moving Average analysis(DMA)は、時系列データを増分としたランダムウォークが、時間の経過とともにどの程度広がっていくかを評価しています。つまり、DFA や DMA では、まず元の時系列を累積和(積…
以前の FIR フィルタに関する記事(下記リンク)では、Hamming 窓をフィルタ係数に適用することで、サイドローブのリップルが大きく低減される様子を確認しました。今回は、なぜ Hamming 窓が、それなりに「良い窓」として広く用いられているのかを説明しま…
時系列のパワースペクトルの推定は、時系列に含まれる周期性を検出したり、背後にある確率過程の基本特性を調べたりするための、最も代表的な解析法の一つで、「スペクトル解析」と呼ばれます。今回はスペクトル解析の基礎を解説します。 1. 真のパワースペ…
今回は、非対称性を示す分布モデルである Skew Normal 分布を紹介します。このモデルは、一つのパラメタを用いて、正規分布からずれた非対称な分布を表現できる点が特徴です。その定義式をみれば一見難しい理論に基づいているように感じますが、その導出のア…
統計検定でよく耳にする 「正規性」 とは、データの分布の形が「正規分布(ガウス分布)」に従う(近似できる)という意味です。多くの統計検定や統計モデルでは、正規性が前提条件として組み込まれています。これは、正規分布が単に「よく現れる分布」だか…
長時間相関解析といえば、DFA(Detrended Fluctuation Analysis) があまりにも有名です。さまざまな分野の論文で DFA が用いられており、そのため「長時間相関を調べるなら DFA」という認識が、半ば常識のように広まっています。 しかし実は、同じ考え方に…
長時間相関過程(long-range correlated process)や 1/f ゆらぎを特徴づけるために広く用いられている Detrended Fluctuation Analysis(DFA)および Detrended Moving Average(DMA)は、時系列を一度「積分(累積和)」してから解析を行います。また、Hig…
日々研究にとりくんでいる私たちの中心には常に「成果を論文として世の中に示す」という目標があります。新しい知見を生み、検証し、論理として美しくまとめる。研究の発想は、突き詰めれば「役に立つものをつくる」という姿勢にあると言ってよいでしょう。 …
みなさんは、「生き物」と「機械」の違い、あるいは共通点をどのように理解しているでしょうか。たしかに、犬とロボット掃除機を並べたとき、同じ仕組みで動いているとは誰も思わないでしょう。しかし 20 世紀のある時代、「生物も機械も、じつは同じ数学で…
教科書や文献には「理想のローパスフィルタ」というものが登場します。もちろん「理想」は人それぞれ違ってかまわないのですが、通常ここで言う理想とは、「ある周波数(カットオフ周波数 )より低い成分は完全に通し、それより高い成分は完全に遮断する」と…
2025年12月16日(火)、大阪大学中之島センターにて開催される大阪大学 21 世紀懐徳堂公開講座で講演を担当します。 本講座は、21 世紀懐徳堂が企画・運営し、幅広い分野の講師が市民の皆さまに向けて最新の知見を分かりやすく紹介するシリーズです…
「カルノーサイクル」。理系の大学生なら一度は耳にし、教科書や講義で「最も効率がよい理想のエンジン」と習ったことがあると思います。どの教科書にも必ず登場し、熱力学では基本中の基本です。 でも、私には正直なところ——この「カルノーサイクル」に対す…
型ゆらぎは、生体システムに広く見られる特徴的なフラクタルゆらぎです。心拍ゆらぎ、脳波パワー、呼吸リズム、歩行リズムなど、多くの生理信号では が 1 に近い 1/f ゆらぎが観測されます。 型ゆらぎを評価する手法としては、パワースペクトル解析、Detrend…
エントロピーという言葉を聞くと、多くの人は「無秩序」「乱雑さ」「情報量の平均」などの教科書的な表現を思い浮かべます。けれども、エントロピーが最初に登場した熱力学の教科書をいくら読んでも、どこか釈然としない感覚が残るのではないでしょうか。 た…
科学における「スケーリング(scaling)」という発想は、実はとても素朴な疑問から始まりました。それは、「同じ形のままサイズを変えたら、自然界の“ルール”はどう変わるのか?」という問いです。言い換えれば、ドラえもんのビッグライトやスモールライトで…
前回の記事では、EDF ファイルの読み込について説明しました。今回はその続編として、「読み込んだ脳波信号を使って、Welch 法でパワースペクトルを計算し、さらに脳波バンドのパワーを求める」ということをやってみます。 Welch 法は、脳波解析だけでなく、…
EDF(European Data Format) は、脳波 (EEG)、心電図(ECG)などの生体信号データを保存するための標準的なファイル形式です。1980年代末に提案され、今でも睡眠ポリグラフや臨床脳波、研究用 EEG などで広く使われています。 今回は、計測されたデータをパ…
時系列データの長期相関(long-range correlation)やフラクタル性を調べる代表的な手法として、DFA(Detrended Fluctuation Analysis) と DMA(Detrending Moving Average Analysis) が広く用いられています。一般には DFA の方が圧倒的に有名ですが、DFA…
私は、20代(1990年代後半)のころ、賢いふりをしたくて「現代思想」という雑誌をときどき買って読んでいました。当時は、ソーカル事件などがあって、権威主義の根底がゆらいでいるのが面白かったです。ソーカル事件というのは、アラン・ソーカル(Alan Soka…
離散時系列に FIR (有限インパルス応答) のハイパスフィルタをかけたいとき、直感的で簡単な作り方があります。それは、 「元の信号から、ローパスフィルタを通した出力を引くこと」、 ただそれだけです。 単純で当たり前の話ですが、この方法は数学的にも正…
みなさんは、ディディエ・ソネット(Didier Sornette)の「ドラゴンキング理論」を知っていますか? この理論を知らない方は以下の動画を視聴してみてください。私は、20年ほど前、東京で開催された経済物理学の国際会議で、ソネットに一度お会いしたことが…
「システム(system)」という語は、現代の科学・技術・社会のあらゆる場所に登場します。 コンピュータシステム 生態系(ecosystem) 神経システム(nervous system) 制御システム(control system) 経済システム 心血管システム 線形システム(linear sy…
「スペクトル(spectrum)」という語は、物理学、工学、医学など、多くの分野で用いられています。たとえば、 光のスペクトル(optical spectrum) 周波数スペクトル(frequency spectrum)/フーリエスペクトル(Fourier spectrum)/パワースペクトル(pow…
「モーメント(moment)」という言葉は、統計学・物理学・工学など、多くの分野で登場します。 しかし日本語では、 力のモーメント(トルク) 慣性モーメント 磁気モーメント 統計のモーメント 運動量(momentum) といった専門用語の中で用いられていても、…
これまで FIR フィルタの基本的な考え方を概観してきましたが、今回はその中でも特に基礎的でありながら、信号解析のあらゆる分野に通じる重要なテーマを扱います。 それは、 「積分(累積和)」と「微分(差分)」という基本操作が、なぜローパス、ハイパス…
確率変数、あるいは、その確率密度関数の性質を理解するうえで重要な統計量のひとつが、モーメント(moment)です。モーメントとは、確率変数の平均、分散、歪度、尖度といった「分布の形」を記述するための指標であり、分布の情報を、分布の中心から裾へと…
確率分布の形状を記述する統計量として、平均・分散・歪度・尖度といった モーメント(moment) に基づく指標が代表的に紹介されます。これらは分布の特徴を把握するうえで基本的かつ重要な量です。しかし、モーメントだけで確率密度関数を一意に定めるため…
フーリエ変換(Fourier transform)というと、偏微分方程式を解くときや、音声・画像・脳波などの信号解析で使われる数学的道具だというイメージが強いかもしれません。たしかにフーリエ変換は、関数や信号を「周波数成分」に分解し、複雑な問題を整理して計…
以前の記事で、ボックスカウンティング次元を紹介しました。 ボックスカウンティング次元では、グラフや図形を、一辺の長さが の箱(区間・正方形・立方体・あるいは高次元の超立方体)で覆うことを考えます。他の人の説明では、格子状に箱を並べるように書…
前回の記事では、FIR フィルタの基本について概観しました(以下のリンク)。 【デジタルフィルタの基礎1】まずは、FIRフィルタの世界を一望してみよう - ケィオスの時系列解析メモランダム しかし、フィルタを「使いこなせる」ようになるためには、抽象的…