ケィオスの時系列解析メモランダム

時系列解析、生体情報解析などをやわらかく語ります

【フラクタル時系列解析の基礎】理想と現実のあいだで考えるフラクタルゆらぎ:ブラウン運動と非整数ブラウン運動

ブラウン運動と非整数ブラウン運動(fractional Brownian motion)について、しっかり理解したい人向けに、基礎の基礎から説明してみたいと思います。 1. 生物学者ブラウンの発見から、数学的ブラウン運動へ 2. 実世界で観測した時系列は「離散的」 3. 理想…

【統計・時系列解析の基礎としての行列1】行列表現・線形代数が何の役に立つのか?

近年、統計解析や時系列解析は、多くの分野で「道具」として広く使われるようになっています。その一方で、そのような手法がどのような構造を仮定し、何を計算しているのかを十分に理解しないまま使っている学生や実務者が増えているとも感じます。統計や時…

【Rでブラインド音源分離】Second-Order Blind Identification(SOBI)入門

複数のセンサで観測した信号が、実は複数の独立した「音源」の混合であった、という状況は、信号処理の分野ではよく見られます。そのような問題は ブラインド音源分離(Blind Source Separation, BSS) と呼ばれます。 BSS の代表的な手法としては ICA(Inde…

【Rで瞬時周波数推定】Savitzky–Golay微分フィルタを用いたTeager–Kaiser Energy Methodの改善策

瞬時周波数や振幅を同時に推定できる TKEO(Teager–Kaiser Energy Operator) は、振幅変調・周波数変調(AM–FM)信号解析の古典的な手法です。しかし、実データへの適用を考えると、従来の TKEO 法には明確な問題があります。ごくわずかな加法ノイズが含ま…

【Rで瞬時周波数推定】意外と単純 Teager–Kaiser Energy Method:ヒルベルト変換じゃないよ

振動する時系列信号を解析するとき、私たちはしばしば「この信号は、いまどれくらいの強さで振動しているのか」「振動の速さは時間とともにどう変わっているのか」といった問いを立てます。Teager–Kaiser energy operator(TKEO)は、まさにそのような問いに…

【Rで波素分析】ARパワースペクトルを1次と2次のAR成分に分解してみる

以前説明した「自己回帰 (AR)パワースペクトルの分解:波素分析」(詳細は以下のリンク参照) 自己回帰 (AR)パワースペクトルの分解:波素分析 - ケィオスの時系列解析メモランダム をRで実際にやってみようという記事です。ARスペクトル分解(波素分析)は…

【Cで高速DMA】長いデータでは畳み込みDMAアルゴリズムは遅すぎる:高速アルゴリズムで解決

今回はC言語プログラムを使って、DMA(Detrending Moving Average Analysis)の高速アルゴリズムの処理速度が如何に速いかを見てみます。素朴に Savitzky-Golay フィルタの畳み込みを計算をする DMA アルゴリズムと、我々のグループが提案している高速DMAア…

【Cで高速DMA】長時間相関解析で、みんなに使ってほしい

時系列の長時間相関(スケーリング)を調べるとき、トレンド除去を含む detrended moving-average analysis (DMA) は、DFA の次に良く使われている手法です。実は、DMAには、DFAよりも優れた部分が複数あり、上位互換と言える方法です。しかし、知名度(主に…

【RでDMA】高速アルゴリズム [PHYSICAL REVIEW E 93, 053304 (2016)]

長時間相関(long-range correlation)や 1/f スケーリングの解析では、トレンドを含む非定常時系列から「本来のゆらぎ」を取り出すために、Detrended Fluctuation Analysis(DFA) や Detrended Moving Average Algorithm (DMA) のような、トレンドからの偏…

【時系列解析の基礎】「弱定常性」「線形性」「ガウス性」は同じ?似ている?それとも別物?

時系列解析の入門書や講義、あるいは時系列解析に関連した論文では、弱定常性(weak stationarity)、線形性(linearity)、ガウス性(Gaussianity)といった言葉が頻繁に登場します。しかし、時系列解析の応用がさまざまな分野へと広がるにつれて、これらの…