ケィオスの時系列解析メモランダム

時系列解析、生体情報解析などをやわらかく語ります

【非ガウス分布の基礎1】特性関数で確率変数の和を考える—— 確率分布をフーリエ変換すると見える世界

フーリエ変換(Fourier transform)というと、偏微分方程式を解くときや、音声・画像・脳波などの信号解析で使われる数学的道具だというイメージが強いかもしれません。たしかにフーリエ変換は、関数や信号を「周波数成分」に分解し、複雑な問題を整理して計…

【フラクタルの数理】非整数ブラウン運動のフラクタル次元―なぜ、D=2-H

以前の記事で、ボックスカウンティング次元を紹介しました。 ボックスカウンティング次元では、グラフや図形を、一辺の長さが の箱(区間・正方形・立方体・あるいは高次元の超立方体)で覆うことを考えます。他の人の説明では、格子状に箱を並べるように書…

【デジタルフィルタの基礎2】FIRのローパスフィルタの仲間たち—— Rで体験しよう

前回の記事では、FIR フィルタの基本について概観しました(以下のリンク)。 【デジタルフィルタの基礎1】まずは、FIRフィルタの世界を一望してみよう - ケィオスの時系列解析メモランダム しかし、フィルタを「使いこなせる」ようになるためには、抽象的…

【線形代数の基礎】ベクトルと行列の基本的な微分公式

行列微分は、多変量最適化、機械学習、信号処理、統計学などの多くの分野で基本となる道具です。今回は、ベクトルや行列に関する代表的な微分公式をまとめ、その考え方を説明してみます。 0. ベクトル・行列表記の基礎 ■ ベクトル ■ 行列 ■ スカラー値関数 ■…

【信号処理の基礎】Savitzky–Golayフィルタを一般形で表す

Savitzky–Golay(SG)フィルタは、時系列データをなめらかにしながら波形の形をできるだけ壊さない、非常に便利な平滑化手法です。生体信号解析、化学計測、音声処理、パワースペクトルの平滑化など、幅広い分野で利用されています。 SG フィルタの特徴は、…

【デジタルフィルタの基礎1】まずは、FIRフィルタの世界を一望してみよう

Finite Impulse Response(有限インパルス応答)、略して FIR フィルタ とは、入力に対する応答(インパルス応答)が有限の長さで確実にゼロになるデジタルフィルタのことを指します。たとえば、鐘を叩いたときに「カーン」と響く音を思い浮かべてください。…

【信号処理の基礎数学4】くし型関数が語る標本化の特性—— 連続から離散への橋渡し(その2)

前回の記事では、くし型関数(comb function)のフーリエ変換について解説しました。私たちは普段、スマホで写真を撮ったり、音声を録音したりと、「アナログな世界をデジタルとして記録する」 技術を当たり前のように使っています。 もちろん、かつてはアナ…

【信号処理の基礎数学3】くし型関数のフーリエ変換——連続から離散への橋渡し(その1)

時系列データのスペクトル解析を正しく理解するためには、 「サンプリング(標本化)とは何か」 「なぜエイリアシングが起こるのか」 「離散化されたデータのパワースペクトルの形がどう決まるのか」 といった根本的な仕組みを押さえる必要があります。 この…

【心拍変動解析の基礎0】ホルター心電計の誕生から心拍変動解析へ

ホルター心電計(Holter monitor)とは、小型の装置を身体に取り付け、24時間以上にわたり心電図を連続記録する検査機器です。日常生活の中で心臓の電気的活動を追跡できるため、健康診断などで実施される数十秒の心電図検査では捉えにくい、不整脈、虚血性…

【正規分布の基礎6】最大エントロピー原理と正規分布—無知が導く、唯一の姿

正規分布といえば、中心極限定理が教えるように、「多くの小さなゆらぎの総和」がつくり出す普遍的な形だ──これが広く知られた理解でしょう。しかし、正規分布には、それとはまったく異なる道筋から導かれる、もうひとつの美しい物語があります。 それは、 …